宅建の過去問は何周すればいいのか。結論からいえば、過去問の周回数を基準に勉強すること自体をおすすめしていません。正しい方法で勉強していなければ何周しても意味がありませんし、正しい方法で勉強していても必要な回数は人や単元によって大きく変わるからです。

それでも、これまで多くの受験生を指導してきた経験から、正しい勉強方法で取り組んでいることを前提に、強いて目安を示すのであれば、分野別過去問題集は5〜7周程度、年度別過去問は3〜7周程度です。では、なぜこの回数を一つの目安としているのか。この記事では、分野別・年度別過去問の周回数の目安と、その理由について詳しく解説します。

宅建の勉強を何から始めればいいのか、テキスト・分野別過去問題集・年度別過去問をどのような順番で進めればいいのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【初学者必見】宅建の勉強は何から始める?合格までのロードマップ

➀宅建の過去問は何周すればいい?

「過去問を7周する」「試験までに10周する」と目標を決めると、勉強量が分かりやすくなります。しかし、宅建の実力は周回数では測れません。同じ問題を10回解いた人より5回しか解いていない人の方が、その問題で使う法律知識を正確に理解し、自分で根拠から答えを導けるのであれば、後者の方が本試験では強いからです。過去問を繰り返す目的は、同じ問題に何度も正解することではありません。過去問を使って知識を身につけ、最終的に本試験で初めて見る問題でも、その知識を使って答えを導けるようにすることが目的です。

特にやってはいけないのが、「なんとなく○」「たしか前回は×だった」「この問題は3番が正解だった」と答えることです。この方法でも同じ過去問を繰り返せば正答率は上がります。しかし、上がっているのは過去問の正答率であって、必ずしも宅建の実力ではありません。この解き方を何周も繰り返すと、問題文を読んで論点を特定し、必要な知識を思い出して判断するのではなく、見覚えのある文章から以前の答えを思い出す癖がつきます。周回数を増やしても意味がないどころか、本試験で使えない解き方が癖になってしまいます。

また、正しい方法で勉強していても必要な回数は人によって違います。同じ人でも、得意な単元なら数回で十分なこともあれば、苦手な単元なら10回以上必要になることもあります。そのため、「7周したから完成」「10周すれば合格できる」と考えるのではなく、問題ごとの完成度を見ながら必要なだけ繰り返してください。そのうえで、初学者が勉強するときの大まかな目安として、分野別過去問題集は5〜7周、年度別過去問は3〜7周程度と考えておけばいいでしょう。

➁分野別過去問題集は5〜7周が目安

宅建の勉強では、まず分野別過去問題集を使って基本知識を身につけます。分野別過去問題集の周回数は5〜7周程度が一つの目安です。5〜7周程度繰り返す頃には、基本知識の理解と定着が進み、年度別過去問へ進める状態になっている受験生が多いという意味での目安です。

当然、すべての問題を同じ回数解かなければならないわけではありません。5周程度で、期間を空けても根拠まで説明して正解できる問題を無理に7周する必要はありません。反対に7周しても毎回迷う問題、理由を説明できない問題、期間を空けると忘れる問題については、8周、10周と繰り返してください。最終的に、ある問題は5回、別の問題は7回、苦手な問題は10回以上解いているという状態でも構いません。5〜7周という数字は、分野別過去問題集の卒業条件ではなく、あくまで平均的な目安です。

分野別過去問題集の具体的な使い方については、以下の記事で詳しく解説しています。
【宅建】分野別過去問題集の正しいやり方|何周する?伸びる解き方を解説

1〜3周目はテキストを見ながら解く

分野別過去問題集の1〜3周目程度は、分からなければテキストを見ながら解いて構いません。最初から何も見ずに正解することより、この段階では問題とテキストに書かれている知識を結びつけることの方が重要です。問題を読んだら、「何について聞かれているのか」「テキストのどこに書かれている知識なのか」「どの要件を使えば判断できるのか」を確認します。分からなければ実際にテキストを開き、該当する部分を探してください。そして、答えが○か×かを確認するだけではなく、どの知識を使い、なぜその結論になるのかまで確認します。

例えば、「この肢は前回も×だった」と覚えて終わりにしてはいけません。どの法律知識を使う問題なのか、その知識にはどのような要件があるのか、問題文ではどの要件を満たしている、あるいは満たしていないから○または×になるのかまで確認します。最初の数周でここを飛ばしてしまうと、問題と法律知識を結びつける前に答えだけを覚えてしまいます。分野別過去問題集を使う目的は、問題と答えの組み合わせを覚えることではありません。

4周目以降を目安に根拠から解く

1〜3周程度を目安に、問題とテキストの知識が十分に結びついてきたら、テキストを見ずに解く段階へ進みます。まだ結びついていないのであれば、4周目以降でもテキストを見ながら確認して構いません。周回数ではなく、問題を読んだときに使う知識を自分で特定できるかどうかで判断してください。

テキストを見ずに解く段階で確認したいのは、単なる正答率ではありません。問題を読んで何の知識が問われているのかを特定できる、必要な要件を思い出せる、問題文の条件を要件に当てはめられる、なぜ○なのか、なぜ×なのか説明できるという状態を目指します。「なんとなく○」「前に解いたとき×だった気がする」「この問題の答えを覚えていた」という理由で正解しても、その問題を解けたとは考えないでください。

特に分野別過去問題集は、何の論点を勉強しているのかが最初から分かっています。代理のページを解いていれば代理について考えればよく、抵当権のページを解いていれば抵当権の知識を使えば済みます。その環境で根拠を説明できないのであれば、本試験で聞き方や条件を変えられたときに対応するのはさらに難しくなります。何の知識を使うのか、その知識の要件は何か、問題文のどこに当てはめるのか、なぜ○または×になるのか。ここまで説明できて初めて、その問題を解けたと考えてください。

丸暗記ではなく、理由まで理解して問題を解く勉強方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
宅建は丸暗記で合格できる?点数が伸びない原因と正しい勉強方法とは

5周目以降は苦手な問題を中心に繰り返す

5周前後まで進むと、毎回迷わず解ける問題と、何度解いても間違える問題の差がはっきりしてきます。この段階からは、問題集を最初から最後まで同じように繰り返す必要はありません。間違えた問題、正解したものの迷った問題、理由を説明できなかった問題、時間が経つと忘れてしまう問題を中心に復習します。すでに根拠まで説明して安定して正解できる問題を毎回解く必要はありません。できる問題は復習する間隔を広げ、できない問題ほど多く繰り返してください。

ここまで来ると、「今は問題集の6周目」という考え方自体があまり重要ではなくなります。ある問題は5回で十分、別の問題は8回、特に苦手な問題は12回というように、問題ごとに必要な回数が変わってくるからです。分野別過去問題集を5〜7周というのは、あくまで全体として見た場合の目安です。自分ができない問題をできる状態にすることを優先してください。

過去問は、周回を重ねるほど1周にかかる時間も自然と短くなっていきます。1周目は分からない知識をテキストで調べ、その理由まで確認しながら進めるため、かなり時間がかかります。しかし、2周目、3周目と繰り返すうちに理解している知識が増え、テキストを開く回数も減っていきます。勉強が進むにつれてテキストを見なくても、使う知識や○×になる理由を自分で説明できる問題が増えるため、さらに速く進められるようになります。5周目以降は、すでにできる問題を外して苦手な問題を中心に繰り返すため、1周目と同じ問題数を最初から最後まで解く必要もありません。そのため、1周目にかかった時間をそのまま5〜7倍する必要はありません。正しい方法で繰り返していれば、理解が深まるにつれて周回のスピードも自然と上がっていきます。

過去問は復習する間隔も重要

一度正解した問題をすぐに復習対象から外すのもおすすめしません。根拠を理解して迷わず正解した場合と、二択で迷ってたまたま正解した場合、以前解いた答えを覚えていただけの場合では、同じ正解でも知識の定着度がまったく違います。また、その日に根拠まで説明して完璧に答えられたとしても、1週間後や1か月後に同じように答えられるとは限りません。一度正解した問題も期間を空けてもう一度解き、それでも根拠まで説明して正解できるか確認します。安定して正解できるようになったら、少しずつ復習する間隔を広げていきます。

同じ5周でも、短期間に一気に5周するのと、期間を空けながら5周するのでは知識の定着度が違います。同じ問題を短期間に何度も解けば、そのときは簡単に正解できるようになります。しかし、それだけで数週間後や数か月後にも知識を思い出せるとは限りません。過去問を繰り返す目的は、その場で正解できるようにすることではなく、本試験でも必要な知識を思い出して使えるようにすることです。きる問題ほど復習する間隔を広げ、できない問題ほど短い間隔で繰り返すことを意識してください。

宅建の復習時期や復習する間隔については、以下の記事で詳しく解説しています。
【宅建】復習の適切な時期はいつ?エビングハウスの忘却曲線とは

分野別過去問題集を卒業する目安

分野別過去問題集から年度別過去問へ進むタイミングも、「7周終わったから」という理由だけで決める必要はありません。基本問題について、問題文から問われている知識を特定できる、テキストを見なくても必要な要件を思い出せる、問題文を要件に当てはめられる、○×になる理由を説明できる、期間を空けても安定して正解できるという状態になったら、年度別過去問へ進みます。多くの受験生を見ていると、その状態になる一つの目安が5〜7周程度というだけです。

5周程度でも十分に仕上がっていれば年度別過去問へ進んで構いません。反対に7周しても苦手な単元が残っていれば、その部分は引き続き分野別過去問題集で復習します。年度別過去問に進んだ後も、そこで基本知識の不足が見つかったら分野別過去問題集に戻れば問題ありません。分野別過去問題集を何周したかではなく、基本問題を根拠から安定して解ける状態になっているかを卒業の基準にしてください。

③年度別過去問は3〜7周が目安

分野別過去問題集をやり込み、基本問題を安定して解けるようになったら年度別過去問に進みます。年度別過去問についても必要な周回数は人によって違いますが、強いて目安を示すのであれば3〜7周程度です。1周目は50問すべて解き、2周目以降は分野別過去問題集に収録されていなかった発展問題と、基本〜標準レベルのうち自分が苦手な問題を中心に繰り返します。すでに安定して解ける基本〜標準問題まで、2周目以降もすべて解き直す必要はありません。

年度別過去問を始める時期や具体的な勉強方法、予想問題集との違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【宅建】年度別過去問題集はいつから始める?予想問題集はやるべき?

1周目は50問すべて解く

年度別過去問の1周目は、本試験と同じように50問すべて解きます。ここでは点数を出すだけではなく、分野別過去問題集で身につけた知識を年度別でも使えるか、自分がどの問題で間違えるのか、どの単元がまだ苦手なのかを確認します。また、分野別過去問題集には収録されていなかった発展問題も出てくるため、新しく勉強する必要がある問題を見つけることも目的です。

間違えた問題や理解が不十分だった問題が出てきたら、そのまま答えだけ確認して次へ進んではいけません。基本〜標準レベルの知識が抜けているのであれば、テキストや分野別過去問題集に戻り、該当する単元をもう一度確認します。分野別過去問題集には収録されていなかった発展問題であれば、テキストなどを確認しながら新しい知識として身につけます。基本〜標準レベルの弱点は分野別に戻って復習し、発展問題は新しい知識として勉強する。この流れで進めてください。

2周目以降は苦手・発展問題を中心に解く

2周目以降は、50問すべてを解き直す必要はありません。分野別過去問題集に収録されていなかった発展問題と、基本〜標準レベルのうち年度別を解いて苦手だと分かった問題を中心に繰り返します。分野別ですでに身につけていて、年度別でも迷わず根拠まで説明できた基本〜標準問題は、2周目以降の復習対象から外して構いません。

最初はテキストを確認しながら解いても問題ありません。発展問題であれば新しく必要になった知識を確認し、基本〜標準レベルの苦手な問題であれば分野別で勉強した知識に戻ります。その後、同じ問題を繰り返し、テキストを見なくても使う知識を特定して根拠から答えを導ける状態を目指してください。できるようになった問題から復習対象から外し、最後まで残った問題ほど多く繰り返します。

苦手・発展問題をテキストなしで解けたら卒業

年度別過去問も、3周した、5周した、7周したという回数だけで卒業を判断する必要はありません。最初はテキストを確認しなければ解けなかった発展問題や、基本〜標準レベルのうち苦手だった問題について、テキストを見なくても使う知識を特定し、理由まで説明して答えを導ける状態を目指します。

繰り返すほど復習対象となる問題は減っていきます。確実に解けるようになった問題は外し、まだ間違える可能性がある問題だけを残してください。発展問題と自分が苦手だった基本〜標準問題も安定して解ける状態になったら年度別過去問は卒業です。強いて回数で示すのであれば3〜7周程度ですが、確実に合格できる実力まで仕上げたいのであれば、必要に応じて7周以上繰り返して構いません。

年度別過去問を卒業したら、最後の総仕上げとして予想問題集に進みます。予想問題集を始める時期は、10月に入ってからでも遅くありません。分野別過去問題集、年度別過去問の順番で一つずつきっちり仕上げていれば、無理に早い時期から予想問題集に手を広げる必要はありません。まずは年度別過去問まで確実に仕上げ、そのうえで直前期に予想問題集を使って本試験に向けた最後の仕上げを行ってください。

④10周しても伸びない場合は勉強法を見直す

過去問を10周、20周しているのに模試や初めて解く年度別過去問で点数が伸びないのであれば、さらに周回数を増やす前に勉強法を見直してください。過去問の正答率だけが上がり、初めて見る問題になると正解できないのであれば、過去問そのものを覚えている可能性があります。「この問題は○だった」という記憶から答える方法を何度も繰り返すと、勉強にならないだけではなく、その解き方自体が癖になってしまいます。周回数を増やすほど正答率が上がるため、実力が伸びているようにも見えます。しかし、初めて見る問題では過去の答えを思い出すことができないため、本試験では使えません。

また、解説を読んで「なるほど」と思っただけで次へ進むのも注意が必要です。解説を読めば理解できることと、自分一人で問題を解けることは別です。過去問を繰り返す目的は、問題と答えの組み合わせを覚えることではありません。問題文から問われている知識を特定し、必要な知識を思い出し、それを問題文に当てはめて答えを導けるようにすることです。何周したかではなく、初めて見る問題でも身につけた知識を使えるを確認してください。

⑤周回数ではなく完成度で判断する

宅建の過去問を何周すればいいのかについて、強いて数字を示すのであれば、分野別過去問題集は5〜7周程度、年度別過去問は3〜7周程度が一つの目安です。確実に合格できる実力まで仕上げたいのであれば、年度別過去問も発展問題や自分の苦手な問題を中心に7周以上繰り返して構いません。しかし、この数字は「ここまでやれば合格できる」という基準ではありません。正しい方法で勉強していなければ何周しても意味がありませんし、正しい方法で勉強していても必要な回数は人や単元によって大きく変わります。

「なんとなく○」「前に×だった気がする」「答えは3番だった」と正解することを何度繰り返しても、本試験で初めて見る問題を解く力にはなりません。問題を読んで問われている知識を特定できるか、必要な知識を思い出せるか、その知識を問題文に当てはめられるか、なぜその答えになるのか説明できるかを基準にしてください。過去問の周回数に自分の勉強を合わせるのではなく、自分の完成度に合わせて必要なだけ過去問を繰り返すことが重要です。

⑥自分に必要な周回数や勉強方法が分からない方へ

ここまで解説してきたように、過去問の周回数はあくまで目安であり、実際に必要な回数は一人ひとり異なります。分野別過去問題集を続けるべきなのか、年度別過去問へ進んでいいのかについても、周回数だけでは判断できません。

「何周もしているのに点数が伸びない」「自分の過去問の解き方が正しいのか分からない」「年度別過去問へ進んでいいのか判断できない」という方は、一度ご相談ください。宅建オンライン家庭教師では、現在の理解度や過去問の解き方、苦手な分野などを確認したうえで、今の勉強方法のままでいいのか、これから何を優先して勉強すべきなのかを個別にアドバイスしています。

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