宅建試験の勉強方法として、通信講座を利用する方は少なくありません。自分の好きな時間に講義を受けられ、通学する必要もないため、非常に便利な勉強方法です。

実際、通信講座だけで宅建試験に合格する方もたくさんいます。

一方で、「途中から講義についていけなくなった」「講義は全部見ているのに過去問が解けない」「勉強しているのに点数が伸びない」という方もいます。

最近は、「通信講座についていけない」「講義は受けているのに過去問が解けない」といった理由で、個別指導をご検討される方からのお問い合わせも増えています。

通信講座で合格するためには、講義を受けるだけでなく、内容を理解し、必要な知識を正確に身につけ、その知識を使って問題を解けるようになる必要があります。

この記事では、通信講座を受講しているのに宅建試験に合格できない、途中からついていけなくなる主な原因と、その場合にどう勉強すればよいのかを解説します。

①講義を受けることが目的になっている

通信講座で最初に注意したいのが、「講義を受けること」と「理解すること」を同じだと考えてしまうことです。

例えば、今日は民法の講義を3本見ると決めて、予定通り3本見終わったとします。確かに予定は達成しています。しかし、その講義で扱われた内容を理解し、後から正確に思い出して、実際の問題で使える状態になっているとは限りません。

通信講座では、理解できていなくても動画を見終われば次の講義へ進むことができます。そのため、

「今日は3時間講義を見た」
「今週は予定通り10講義終わった」
「すべての講義を一周した」

ということ自体が目標になってしまうことがあります。

宅建試験の目的は、講義をすべて見ることではありません。講義は合格するための手段です。講義で扱われた内容を理解し、必要な知識を正確に身につけ、本試験で使えるようになって初めて得点につながります。

講義を予定通り消化していても、理解できていないまま先へ進めば、進んでいるのは講義だけです。

➁法律の「理由」まで十分に解説されない

宅建試験では、民法、宅建業法、都市計画法、建築基準法など、多くの法律を勉強します。そこで重要なのが、法律の結論だけではなく、「なぜそのような内容になっているのか」「なぜその場合にその結論になるのか」まで理解することです。

宅建試験には、最終的に覚えるしかない知識もあります。しかし、理由を考えれば理解できるものまで結論だけを丸暗記すると、一つひとつが独立した暗記事項になってしまいます。「この場合は〇〇になる」と結論だけを覚えても、なぜそうなるのかが分からなければ、知識は頭に残りにくく、時間が経てば忘れやすくなります。

一方、なぜそのような内容になっているのか、何を目的としているのかまで理解していれば、結論と理由が結びつきます。「この場合は〇〇になる」という結論だけを丸暗記するのではなく、「なぜ〇〇になるのか」まで理解しているからこそ、その結論を正確に覚えることができます。

さらに、理由まで理解することは、現在の宅建試験に対応するうえでも重要です。近年の宅建試験では、過去に出題された知識であっても、過去問とまったく同じ形で聞かれるとは限りません。同じ知識について、事例や条件、聞く角度を変えて出題されることがあります。

そのため、過去問の結論や問題文を表面的に覚えているだけでは対応できません。覚えた形と少し違う聞かれ方をされただけで、知っている論点なのに正解できなくなることがあります。一方で、なぜその結論になるのかまで理解していれば、過去問とは違う角度から問われても、自分で考えて答えを導き出すことができます。

しかし、すべての映像講師がそこまで詳しく解説してくれるわけではありません。講師が「この場合は〇〇です」「ここは試験に出るので覚えてください」と結論を伝えるところまでで、なぜそうなるのかまでは十分に説明しない講義もあります。

通信講座を受講している方は、実際の映像授業で講師がどこまで説明しているかに注目してみてください。

単に講師が「この場合は〇〇になります」「ここは重要なので覚えてください」と説明するだけであれば、市販のテキストでも学ぶことができます。テキストにも法律の結論は書かれていますし、重要な論点には重要度が示されているものもあります。

そのため、映像講義では、講師がテキストを読めば分かる内容を伝えるだけではなく、なぜその結論になるのか、初学者がどこでつまずきやすいのか、実際の問題ではどのように考えるのかまで説明しているかを見ることが重要です。

例えば、重要事項説明で「専用使用権」という言葉が出てきたときに、講師が具体的にどのようなものが専用使用権に当たるのかまで説明しているか。さらに、なぜ専用使用権に関する事項は売買では説明が必要なのに、貸借では説明が不要なのか、その理由まで説明しているか。

法令上の制限であれば、土地区画整理法の「地役権は、その行使する利益がなくなった場合を除き消滅しない」という知識について、講師がそもそも地役権とはどのような権利なのかを具体例を交えて説明しているか。そのうえで、「地役権を行使する利益がなくなる」とは具体的にどのような場合なのか、反対にどのような場合なら利益が残るのかまで説明しているか。

さらに、理由を説明できる内容について、講師が語呂合わせで覚えさせていないかも、映像講師を見るうえでの重要なチェックポイントです。理由まで理解できる論点であれば、本来は語呂合わせに頼る必要はありません。それにもかかわらず、理由を説明できる内容まで講師が語呂合わせで覚えさせているのであれば、その講義で「なぜそうなるのか」まで説明しているのか、それとも結論と覚え方だけで終わっているのかを見てください。

結論や覚え方を伝えることと、初めて法律を勉強する方に理由まで理解してもらい、その知識を問題で使える状態にすることは別です。語呂合わせに逃げず、なぜそうなるのかまで説明できるか。ここにも、講師の知識や指導力の差が表れます。

③覚えるべき知識の優先順位にも差がある

宅建試験の出題範囲は広く、テキストには非常に多くの情報が掲載されています。しかし、すべての知識が同じ重要度ではありません。絶対に押さえておきたい基本的な知識もあれば、余裕があれば覚えたい知識、合格することを考えれば優先順位を下げられる細かい知識もあります。

試験対策の授業である以上、講師にはテキストに書いてある内容を説明するだけではなく、「これは必ず覚える」「ここは考え方を理解する」「これは優先順位を下げてもよい」と、出題頻度や重要度を踏まえて教えることが求められます。そのためには、講師自身が宅建試験で何がどの程度出題されているのかを把握している必要があります。

現在、通信講座を受講している方は、映像授業の中で講師が各論点の出題頻度をどこまで具体的に説明しているかにも注目してみてください。単に「ここはよく出ます」「ここは重要です」「ここはあまり出ません」という説明ではありません。「この論点は過去15年間で1回だけ出題されています」「この論点は繰り返し出題されています」といった形で、具体的な期間や出題状況まで講師が説明しているかを見てみてください。

試験対策を教える以上、何を優先して勉強するべきかを伝えるのであれば、その根拠となる過去の出題状況まで講師自身が把握していることが重要だと私は考えています。

一方、初学者が自分で知識の優先順位を判断するのは簡単ではありません。テキストに書いてある以上、「全部覚えなければいけないのではないか」と考え、細かい知識まで同じように覚えようとしてしまうことがあります。その結果、ほとんど出題されない知識に大量の時間を使い、本来絶対に取らなければならない基本問題を落としてしまっては意味がありません。

限られた勉強時間の中で合格を目指す以上、何を勉強するのかだけではなく、何を優先して、どの程度まで身につけるのかも重要です。

④講義を理解できても問題が解けるとは限らない

講義の内容を理解することと、実際の問題を自分で解けることは別です。

講師の説明を聞いていると「なるほど」「そういうことか」と理解できる。ところが、自分で過去問を解いてみると解けない。これは珍しいことではありません。講義を聞いているときには、何について説明されているのかが最初から分かっています。しかし、本試験では「この知識を使ってください」と教えてくれるわけではありません。

実際に問題を解くときには、

1.問題文を正確に読む
2.何が問われているのかを判断する
3.必要な法律や要件を自分の頭から取り出す
4.問題文の事実を要件に当てはめる
5.〇か×かを判断する

という思考が必要になります。

例えば、宅地建物取引業の免許が必要かを判断する問題であれば、

1.宅地または建物か
2.取引に当たるか
3.業として行うか

といった要件を確認し、問題文の事実を一つずつ当てはめて結論を出します。

講義の内容を理解した後には、その知識を実際の問題で使う練習が必要です。

⑤問題演習では間違えた原因まで自分で分析する必要がある

通信講座では、講義を受けた後の問題演習について、受講生自身で進めなければならない部分も多くあります。

過去問を解き、間違えたら解説を読んで、「そういうことか」と納得して次の問題へ進む。これを繰り返しているだけでは、問題をたくさん解いているにもかかわらず、なかなか点数が伸びないことがあります。大切なのは、なぜ自分がその問題を間違えたのかです。

同じ不正解でも、

・必要な知識を知らなかった
・知識は覚えていたが、理由を理解していなかったため、聞かれ方が変わると正解できなかった
・どの知識を使えばいいのか分からなかった
・法律の要件を見落としていた
・問題文を読み違えていた
・過去に見た問題と似ているという理由だけで答えを選んだ

など、原因はまったく違います。原因が違えば、やるべき復習も変わります。必要な知識を知らなかったのであれば、その知識を身につける必要があります。

知識自体は覚えていても、聞かれ方が変わったことで正解できなかったのであれば、結論をもう一度暗記するだけではなく、なぜその結論になるのかまで学び直す必要があります。
どの知識を使えばいいのか分からなかったのであれば、問題文から必要な知識を判断する練習が必要です。
問題文の読み方に原因があるなら、知識を増やすだけでは同じ間違いを繰り返します。

問題演習は、問題数を増やしたり、過去問を何周したりすること自体が目的ではありません。一問一問を通して自分がなぜ間違えたのかを確認し、次に同じ論点を違う角度から聞かれても解ける状態にすることが重要です。

⑥学習管理も自分で行う必要がある

通信講座では、講義を見る時間だけでなく、復習や問題演習の予定を立て、実際にその通り勉強を進めることも自分で行う必要があります。

通信講座は自分の好きな時間に勉強できる反面、学習を進める強制力が働きにくいという面もあります。講義を見るのが遅れても、復習や問題演習を後回しにしても、基本的には自分で立て直さなければなりません。仕事や学校が忙しかったり、一人では勉強を後回しにしてしまったりする方の場合、「今日は疲れたから明日にしよう」と先延ばしにしているうちに、予定から大きく遅れてしまうこともあります。

自分で計画を立て、計画通りに勉強できる方にとって、通信講座の自由度の高さは大きなメリットです。一方で、一人では勉強を後回しにしてしまう方にとっては、その自由度の高さがデメリットになることもあります。

⑦一人で勉強を進められるなら通信講座だけでも十分

ここまで通信講座でつまずく原因を説明してきましたが、通信講座だけで宅建試験に合格できる方もたくさんいます。

・講義で学んだ内容を理由まで理解し、必要な知識を正確に覚える。
・問題を解いて、間違えた原因を自分で判断する。
・必要な復習を行い、違う角度から問われても答えられる状態にする。
・そして、試験までの勉強を自分で管理して継続する。

ここまで自分でできるのであれば、通信講座だけでも十分に合格できます。

一方で、講義を受けているのに内容が頭に入らない、過去問と違う聞かれ方をすると解けない、何を優先すればいいのか分からない、問題を間違えても原因が分からない、勉強を計画通りに続けられないという場合には、一人で勉強を進めること自体が難しくなっている可能性があります。

通信講座についていけない生徒への指導

通信講座でつまずいている方を指導する場合、私がまず確認するのは、講義内容をどこまで理解できているのか、実際の問題でどのように考えているのか、問題演習や復習を自分で進められているのか、日々の勉強を継続できているのかという点です。

そのうえで、生徒の現在の状態に合わせて必要な指導を行います。

理由まで理解して正確に覚え、問題で使えるようにする

私の授業では、法律の結論だけを伝えて丸暗記してもらうのではなく、なぜそのような内容になっているのか、何を目的としているのか、なぜその場合にその結論になるのかまで解説します。

理由まで理解することで、結論そのものを正確に覚えやすくなり、単なる丸暗記よりも忘れにくくなります。さらに、問題の事例や聞かれ方が変わっても、その知識を使って自分で考え、正解できるようになります。

私自身、宅建試験に合格した後も、講師として必要な知識を身につけるために1,000時間以上勉強してきました。

合格時に覚えた知識をそのまま教えているわけではありません。法律の理由まで説明できるように学び直し、過去問についても、各論点が過去15年間でどの程度出題されているのかまで確認して頭に入れてきました。そのため、テキストに書かれている結論を伝えるだけではなく、「なぜそうなるのか」「本試験でどの程度重要な知識なのか」まで踏み込んで教えることができます。

私は、語呂合わせを使った指導は一切行いません。理由を説明できるものについては、単に「これは覚えてください」で済ませず、なぜそうなるのかまで説明します。

過去15年の出題頻度から優先順位を判断する

何を覚えればいいのか分からない生徒には、過去の出題状況や本試験での重要度を踏まえて、何をどこまで身につける必要があるのかを具体的に伝えます。

私は、直近15年程度の宅建試験について、各論点がどの程度出題されているのかをほぼすべて把握しています。過去15年間で一度も出題されていないもの、1回だけ出題されたもの、2回出題されたもの、3回以上繰り返し出題されているものまで把握したうえで、授業で扱う知識の優先順位を判断しています。中には、15年以上前に出題されたことがあり、現在もテキストに掲載されているものの、直近15年間では一度も出題されていない論点もあります。もちろん、過去15年間で出題されていないからといって、今後も絶対に出題されないとは限りません。

しかし、限られた勉強時間の中で合格を目指す以上、過去15年間で一度も出題されていない論点と、何度も繰り返し出題されている論点を同じ重要度で勉強する必要はありません。私の授業では、必要に応じて「この論点は過去15年間で1回だけ出題されています」「この論点は3回以上繰り返し出題されています」といった形で、具体的な出題状況まで伝えます。

その出題頻度に加えて、論点の内容や他の知識との関係も踏まえ、「ここは必ず身につける」「ここは考え方まで理解する」「ここは優先順位を下げる」と判断しています。

生徒の学習状況に合わせて授業内容を変える

私の授業では、生徒がこれまでどの程度勉強してきたのか、現在どこまで理解できているのかによって、授業内容を変えています。

宅建をゼロから学ぶ生徒の場合には、必要な知識や法律の考え方を一から解説し、その内容について実際に問題を解いてもらいます。インプット(講義)とアウトプット(問題演習)を組み合わせながら、学んだ内容を理解し、実際の問題で正解できるところまで指導します。

一方で、通信講座などですでに学習を進めている生徒の場合には、現在の理解度や問題を解くときの考え方を見たうえで、必要な部分を指導します。

現在は、年間1,000時間以上、宅建の個別指導を行っています。多くの生徒を実際に指導する中で、どこで理解が止まりやすいのか、どのような勘違いをしやすいのか、問題を解くときにどこで考え方を間違えやすいのかを見てきました。

そのため、すべての内容に同じ時間をかけるのではなく、多くの生徒が理解しにくい部分や勘違いしやすい部分は時間をかけて丁寧に解説し、比較的理解しやすい部分は短時間で進めます。内容によってかける時間を変えることで授業時間の無駄を減らし、生徒自身も本当に時間をかけるべき部分に集中して、効率よく勉強できるようにしています。

また、問題演習でも単に正解したか不正解だったかだけで判断するのではなく、どのように考えてその答えを出したのかを見ながら、必要な部分を指導します。正解していても、理由を説明できなかったり、たまたま正解していたりすることがあります。反対に、不正解でも考え方の大部分は合っていて、一つの知識だけが不足している場合もあります。

理解が不十分であれば、その部分を基礎から教え直します。基本的な知識は身についていても、問題文のどこに着目するのか、何を考えるのか、どの知識を使って判断するのかといった問題を解くための考え方が不十分であれば、問題演習を通してその部分を指導します。通信講座を受講していても、土台となる理解が不十分であれば、必要なところまで戻って一から授業を行います。反対に、すでに理解できていて問題も解ける部分については、無理に授業で扱いません。

生徒の現在の状態に合わせて必要な指導を行い、理解・定着・問題演習・復習まで一つずつ積み上げながら、宅建試験の合格まで導きます。

一人ひとりにカリキュラムを作成して宿題を出す

授業を始める際には、生徒一人ひとりの現在の学力や試験までの残り期間に合わせてカリキュラムを作成します。

授業以外の勉強についても、そのカリキュラムに沿って、次回までにやるべきことを具体的に決めて宿題を出します。単に「今週は宅建業法を勉強してください」と大まかに決めるのではありません。現在の理解度や試験までの残り期間を踏まえて勉強する内容に優先順位をつけ、何を、どこまで、何日までに勉強するのか、どの問題を解くのかまで具体的に指定して宿題を出します。

一人で勉強していると、「今日は疲れたから明日にしよう」「この分野は難しいから後回しにしよう」となってしまう方でも、次回の授業までにやるべきことが明確になり、その進み具合を確認されることで一定の強制力が働きます。

宿題は出すこと自体が目的ではありません。作成したカリキュラムに沿って、授業で習った内容を定着させ、自分で問題を解けるようにするために出しています。その後の進み具合を見ながら、必要に応じてカリキュラムや宿題の内容も修正します。

授業を受ける時間だけではなく、試験までに何を学び、授業と授業の間に何をするのかまで含めて指導します。

まとめ

通信講座だけでも宅建試験に合格することは十分可能です。

ただし、講義を見るだけではなく、内容を理由まで理解して必要な知識を正確に覚え、その知識を問題で使い、間違えた原因に応じて復習し、試験まで勉強を継続する必要があります。

また、通信講座は講師によって、法律の理由まで解説できるか、過去の出題状況を踏まえて知識の優先順位まで示せるかにも差があります。

講義についていけない、過去問と違う聞かれ方をすると解けない、何を優先すればいいのか分からない、問題を間違えても原因が分からない、勉強を計画通りに進められないという場合には、現在どこでつまずいているのかを確認し、その原因に合った勉強をすることが重要です。

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無料体験授業では、私が現在の勉強状況や使用している教材を確認し、どこでつまずいているのかを見ます。そのうえで、一から教え直した方がよいのか、問題演習を通して考え方を身につけた方がよいのか、どの分野を優先して勉強するべきなのかなど、現在の状況に合わせて今後の勉強方法をご提案します。

授業を始めた後は、一人ひとりに作成したカリキュラムに沿って授業と宿題を進め、理解度や問題を解くときの考え方、学習の進み具合を見ながら必要な指導を行います。

通信講座を受講しているのに点数が伸びない、途中からついていけなくなった、何をすればいいのか分からなくなったという方は、一度無料体験授業をご検討ください。