<目次>
①はじめに
最近の宅建試験は難易度が上がっていると言われています。これから受験される方、既に勉強を始めている方は近年の傾向が気になっている人も多いと思います。そこで今回では宅建の近年の問題の傾向などを含めて徹底的に解説していきます。
②宅建の合格点・合格率
実施年度 | 合格点(正答率) | 合格率 |
2024年(令和6年) | 37点(74%) | 18.6% |
2023年(令和5年) | 36点(72%) | 17.2% |
2022年(令和4年) | 36点(72%) | 17.0% |
2021年12月(令和3年12月) | 34点(68%) | 15.6% |
2021年10月(令和3年10月) | 34点(68%) | 17.9% |
2020年12月(令和2年12月) | 36点(72%) | 13.1% |
2020年10月(令和2年10月) | 38点(76%) | 17.6% |
2019年(令和元年) | 35点(70%) | 17.0% |
2018年(平成30年) | 37点(74%) | 15.6% |
2017年(平成29年) | 35点(70%) | 15.6% |
2016年(平成28年) | 35点(70%) | 15.4% |
2015年(平成27年) | 31点(62%) | 15.4% |
2014年(平成26年) | 32点(64%) | 17.5% |
宅建の合格点・合格率のみを見ると毎年合格点35点前後・合格率15%前後で大きな変化はありません。しかし、問題の難易度が大きく変わってます。まずは宅建の問題構成を確認しましょう。
➂問題構成
試験科目 | 問題数 | 問題番号 |
---|---|---|
権利関係 | 14問 | 問1〜問14 |
法令上の制限 | 8問 | 問15〜問22 |
税、その他 | 3問 | 問23〜問25 |
宅建業法 | 20問 | 問26〜問45 |
免除科目 | 5問 | 問46〜問50 |
合計 | 50問 | 問1~問50 |
宅建の問題構成は2009年から上記の内容となっており、現在まで変わっていません。
④問題の難易度
問題の難易度は、結論から言うと年々大きく上がっています。2018年に合格し、合格後は宅建の講師をしていて2010年から現在(2024年)の全ての問題を何度も何度も繰り返し解いた私の経験から詳しく解説していきます。
2010年~2014年
2014年までは名称が「宅地建物取引士」ではなく「宅地建物取引主任者」という名称でした。全ての試験科目で、基礎的な問題や定型的な問題がほとんどでした。勉強時間の目安は初学者で200時間~300時間でした。
2015年~2020年
2015年から名称が「宅地建物取引士」となり、難易度が一段階いきなり難しくなりました。全ての試験科目で、2014年以前と比べ細かく問われるようになり、しっかり細かく暗記しないと解けない問題が増えてきました。勉強時間の目安は初学者で300時間~400時間でした。
2021年以降
権利関係以外の問題の難易度は2021年以降は大きく変わっていませんが、権利関係が年々かなり難しくなっています。定型的な暗記で解ける問題が少なくなってきており、法律の理解ができていないと解けない、考えさせる問題が増えています。さらに、毎年、過去に出題されたことがない新しい単元から出題されるようになり、試験範囲が広がり続けています。詳しくは次で解説します。勉強時間の目安は初学者で400時間~500時間です。
➄合否を分ける権利関係
2021年以降、権利関係が年々かなり難しくなっていますが、具体的に解説していきます。ポイントは以下の2点です。過去問の具体例を挙げながら解説していきます。
暗記で解けない、法律を理解していないと解けない問題が増えた
2024年度の問題の具体例
問1 法律行為に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
①営業を許された未成年者が、その営業に関する意思表示をした時に意思能力を有しなかった場合は、その法律行為は無効である。
→行為能力と意思能力の違いについて暗記ではなく理解をしていないと解けません。
➁公の秩序に反する法律行為であっても、当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効である。
→公序良俗違反はなぜ法律上無効なのか、法律の本質を理解していないと解けません。公序良俗違反=無効で丸暗記していると「当事者が納得して合意した場合には、その法律行為は有効」になるのかならないのか、わからず解けません。
問8 次の記述のうち、民法の条文として規定されていないものはどれか。
①隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。
→承諾の通知とは民法上なんというでしょうか。これは意思表示です。意思表示は相手に伝わらないと基本的に有効になりません。そのため、承諾の通知をしたとしても相手に届いていなければ意味がないのです。ここまで理解して解ける問題です。
問10 売買契約の目的物が品質に関して契約の内容に適合しない場合において、当該契約不適合が売主及び買主のいずれの責めにも帰することができない事由によるものであるとき、履行の追完請求権、代金の減額請求権、損害賠償請求権及び契約の解除権のうち、民法の規定によれば、買主が行使することができない権利のみを掲げたものとして正しいものは次の記述のうちどれか。なお、上記帰責性以外の点について、権利の行使を妨げる事情はないものとする。
①履行の追完請求権、損害賠償請求権、契約の解除権
➁代金の減額請求権、損害賠償請求権、契約の解除権
③履行の追完請求権、代金の減額請求権
④損害賠償請求権
→「両者のいずれの責めにも帰することができない事由の時、買主が行使することができない権利のみ」を暗記している人はほとんどいないでしょう。したがってその場で考える必要があります。それぞれの権利がどのようなものか、どのようなときに行使できるのか、なぜ行使できるのか、普段から考えながら理解していく勉強をできていた人のみが正解できる問題です。
このように定型的な問題ではなく、考えさせる問題が増えてきています。以前のような丸暗記で突破できる試験ではなくなっています。
過去に出題されたことがない新しい単元から出題されるようになった
2024年度(令和6年)の問題の具体例
問6(混同)、問9(債務引受)
2023年度(令和5年)の問題の具体例
問5(不在者)
2022年度(令和4年)の問題の具体例
問5(期間の計算)、問7(失踪宣告)、問9(辞任)
2021年度12月(令和3年12月)の問題の具体例
問1(自力救済、判決文の問題)
2021年度10月(令和3年10月)の問題の具体例
問10(選択債権)
これらの問題のように毎年新しい単元から出題されるようになったのが近年の傾向です。これらの問題は民法でもかなりマイナーな単元も含まれており、その場で考えてもわからない、知らないと解けない問題であり、対策は困難です。
⑥宅建の難易度が上がっている理由
宅建の難易度が上がっている理由としては➀教材、学習環境の充実➁不動産業界の意識が挙げられます。
➀の教材、学習環境の充実について、宅建は国家資格の中でもトップクラスに受験者数も多く、書籍がたくさん出版されています。さらに通信講座などの充実も理由に挙げられます。以前までは実際に資格予備校に足を運んで授業を受けなければならなかったのですが、近年では自宅にいながら授業を受けることができる通信講座も増えています。個別指導もオンラインで受講できるサービスが増えています。
➁の不動産業界の意識について、以前は不動産の営業職は宅建が無くても営業成績を出していれば問題ない、という会社が多かったのですが、近年の意識の変化により数字を出している営業職であっても宅建を取得すべきという意識になっている会社が増えてきました。会社によっては新卒は3年以内に必ず宅建を取得すること、中途は宅建取得者のみ採用、という会社もあります。宅建の有無で歩合の計算(割合)が違う会社もあります。
⑦まとめ
宅建の難易度は昔と比べ大きく上がっています。また、合否を分けるのは権利関係です。権利関係以外の単元は点数が取れて当たり前、8割~9割取れて当たり前です。権利関係は14問ですが、丸暗記の勉強方法だと4点~6点が限界で、高得点を取るのは困難です。法律の本質を理解しながら勉強ができている人は10点~12点取ることができ、そのような人のみが合格できる試験になっています。
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