①宅建に必要な国語力・読解力とは何か

「宅建は国語力が必要」と言われることがあります。

この言葉だけが独り歩きすると、「自分は読解が苦手だから不利なのではないか」と不安が大きくなります。でも最初に結論をお伝えします。宅建に必要なのは、評論問題のような高度な読解力ではありません。必要なのは、文章を“構造”で追って処理する読解力です。宅建の文章は長く見えますが、問われ方はかなり一貫しています。その一貫した構造を外さずに追えるかどうかが、得点の安定と合否を分けます。

➁宅建の文章が「読めない」と感じる理由

宅建で「読解力が不安」と感じる人の多くは、国語が苦手というより、次のどれかに当てはまります。

1.登場人物が増えると主語が入れ替わる

A、B、C、第三者など、人物が増えるほど「誰が何をしたか」が崩れやすくなります。主語を見失った瞬間に、文章は一気に読めなくなります。

2.動詞が普段の日本語ではない

売る、貸す、請け負う、あっせんする、反復継続して行う。宅建は名詞ではなく、動詞で状況が決まります。動詞を外すと、知識があっても結論がズレます。

3.条件の一言で結論が逆転する

「〜の場合」「〜を前提に」「ただし」など。条件を落とすと、正しい知識を持っていても外します。つまり宅建の「読解力」とは、文章を味わう力ではなく、構造を取り違えない力です。

③宅建を含む法律系試験に共通する
「4つの読解力」(主語・動詞・対象・条件)

宅建に限らず、法律系試験で求められる読解力は次の4つです。

1.主語を追う力

「誰が」行為主体なのか。
Aなのか、Bなのか、第三者なのか。複数人物が出る文章では、主語が何度も切り替わります。ここを外すと、以後の判断が全部ズレます。

2.対象を押さえる力

「何について」の話なのか。
・土地なのか
・建物なのか
・契約なのか
・手続なのか

対象がズレると、知識が合っていても誤答になります。

3.動詞を拾う力

「何をしているのか」。
・売る
・貸す
・委託する
・あっせんする
・反復継続して行う

法律問題は、名詞よりも動詞で差がつきます。

4.条件・前提を落とさない力

「どんな条件で」の話なのか。「〜の場合」「〜を前提に」「ただし」など。宅建は条件で結論が変わる試験です。ここを落とすと外します。

④宅建の文章はどう読めばいいか
(主語・動詞・対象・条件)

読む順番(確認の順番)はシンプルです。

主語 → 動詞 → 対象 → 条件

ただし、必ずこの順番で捉えないといけないわけではありません。主語・動詞・対象・条件の4つをしっかり意識しながら読めば、文章の骨格が立ちます。評論読解のような技術は要りません。
そして大事なのは、速く読むことではなく、毎回同じ観点で確認してブレを減らすことです。ブレが減ると、得点が安定します。

⑤宅建の読解力を過去問2問で確認

宅建の令和6年度(2024年)の過去問を使って読解力を確認します。ここでは法律知識は不要です。

問題1

Bが、自己所有の宅地に自ら貸主となる賃貸マンションを建設し、借主の募集及び契約をCに、当該マンションの管理業務をDに委託する場合…

質問はこれだけです。
・問題1は「誰が」「何について」「何をする」場合か

解答を見る(開く前に一度、自分で答えを言葉にしてください)

問題1 → Bがマンションについて賃貸借契約をする場合

問題2

不特定多数の者に対し、建設業者Fが、建物の建設工事を請け負うことを前提に、当該建物の敷地に供せられる土地の売買を反復継続してあっせんする場合…

質問はこれだけです。
・問題2は「誰が」「何について」「何をする」場合か

解答を見る(開く前に一度、自分で答えを言葉にしてください)

問題2 → Fが土地についてあっせん(媒介)をする場合

ここで見ているのは、

・主語を追えているか
・対象を押さえられているか
・動詞を拾えているか

という読解の土台です。このレベルでつまずいていなければ、宅建に必要な国語力・読解力は足りています。

⑥宅建で読み違いはどこで起きるのか

ここからは、先ほどの2問を使って「どこで読み違いが起きるのか」を読解だけで再現します。

再現例(問題1)

Bが、自己所有の宅地に自ら貸主となる賃貸マンションを建設し、借主の募集及び契約をCに、当該マンションの管理業務をDに委託する場合…

この文で最低限確認するのは次の4点です。
・主語 → B
・動詞 → (自ら)貸主となる
・対象 → 賃貸マンション
・補足情報 → 募集・契約はCに委託/管理はDに委託

※この「Cに委託」「Dに委託」は、結論を分岐させる“条件”というより、状況を説明する補足情報です。

読み違いは、主語がズレる瞬間に起きます。よくあるズレ方は次のとおりです。

典型的なズレ

① Cが出てきたところで主語をCにしてしまう
「借主の募集及び契約をCに」の部分で、いつの間にか「Cが契約する話」だと読んでしまう。

② Dが出てきたところで主語をDにしてしまう
「管理業務をDに」の部分で、中心がDに移ったように感じてしまう。

この文章は、最後まで主語はBのままです。人物が増えるほど、主語を固定できるかが読解の分かれ目です。

再現例(問題2)

不特定多数の者に対し、建設業者Fが、建物の建設工事を請け負うことを前提に、当該建物の敷地に供せられる土地の売買を反復継続してあっせんする場合…

この文で最低限確認するのは次の4点です。
・主語 → F
・動詞 → あっせんする
・対象 → 土地(売買)
・条件 → 不特定多数/反復継続/請負を前提

読み違いは、動詞と対象がズレる瞬間に起きます。典型例は次のとおりです。

典型的なズレ

① 最初に出てくる動詞(請け負う)を“本題の動詞”にしてしまう
文章の途中の「請け負う」に引っ張られて、「何をしているか」を誤って固定してしまう。

② 「建物」の単語に引っ張られて対象を建物にしてしまう
実際に対象として書かれているのは「土地の売買」なのに、「建物」のほうを中心に読んでしまう。

この文章は、最後の「土地の売買を…あっせんする」で骨格が決まります。動詞と対象を最後まで取り違えないことが読解のポイントです。

⑦宅建の読み違いが起きる理由と減らし方

読み違いは能力不足ではありません。原因は単純で、確認の観点が固定されていないからです。文章を読むたびに、

・今日は主語から読む
・今日はなんとなく読む
・今日は知識から当てにいく

とブレると、正答率もブレます。宅建で必要なのは、深く読む力ではなく、毎回同じ観点で確認する力です。
主語・動詞・対象・条件この4つを意識して確認する。それだけで、読み違いは大きく減ります。
そして読み違いが減ると、知識がそのまま得点に変わります

⑧宅建で「知識はあるのに落とす」人が
やりがちな読み違い

宅建で多いのは、知識がゼロだから解けないのではなく、読み違いで落とすパターンです。典型は次のとおり。

1.主語のすり替え

途中からBの話なのに、Aのまま読んでしまう。人物が多いほど起こります。

2.対象の取り違い

土地の話なのに建物の知識で判断してしまう。特に「敷地」「宅地」「建物」「目的物」が混ざると起こります。

3.動詞の見落とし

「売買」だと思い込んだが、実際は「あっせん」。「自ら行う」と「委託する」を同じに扱ってしまう。ここは読解のミスとして出ます。

4.条件の読み飛ばし

「不特定多数」「反復継続」「前提に」「ただし」。この一言で結論が変わるのに、頭に入らないまま次に進む。

この手のミスは、国語のセンスではなく、確認手順の固定で減らせます。

⑨宅建の国語力・読解力ミニチェック

次のうち、3つ以上できれば問題ありません。

・文章中の「誰が」を追える
・「何についての話か」を言葉で言える
・「何をしているか(動詞)」を拾える
・「ただし」「前提に」など条件に気づける

3つ以上当てはまるなら、宅建に必要な読解力は備わっています。

⑩宅建で読解が原因で落ちる人の特徴

「知識は入れているのに点が安定しない」人は、読解が原因になっていることが多いです。次に当てはまるものが多いほど、その可能性が高いです。

1同じ分野なのに点が上下する

同じテーマの過去問でも、日によって正答率が大きく変わる。これは知識より、文章の取り方が毎回違うサインです。

2解説を読めば分かるのに、その場で外す

解説を読んだ瞬間に「なるほど」と思えるのに、本番形式だと外す。知識が不足しているというより、主語・動詞・対象・条件の確認がズレています。

3間違いの理由が毎回バラバラ

「ケアレスミス」で片づけているが、実際は主語/動詞/対象/条件のどれかが毎回ズレているだけ、というケースがあります。

4問題文を読むときに“当てにいく”

途中で見えた単語に反応して、結論を先に決めてしまう。この読み方だと、条件を落としやすくなります。

5読み終わったあとに内容を言い直せない

「誰が何をして、何についての話だったか」を一文で言えない。これは読解の骨格が取れていないサインです。当てはまるなら、必要なのは追加の暗記ではなく、確認の順番を固定することです。

⑪Q&A:宅建の読解力に関するよくある疑問

Q1 国語が苦手だと宅建は不利ですか?

必ずしも不利ではありません。宅建に必要なのは評論読解力ではなく、構造確認力です。主語・動詞・対象・条件を確認できれば十分です。

Q2 読むのが遅いと不利ですか?

遅くても構いません。正確に確認できることのほうが重要です。慣れれば速度は自然に上がります。

Q3 読解力は独学で伸ばせますか?

伸ばせます。ただし、「なんとなく読む」では伸びません。確認の順番を固定することが必要です。

Q4 知識不足と読解不足はどう見分けますか?

解説を読むと理解できるのに、本番で外すなら読解の問題です。毎回違う理由で間違える場合も、読解のブレが原因であることが多いです。

⑫宅建で読解が不安な人ほど、
伸びる余地が大きい

読むのに時間がかかっても問題ありません。迷いながらでも、主語・動詞・対象・条件が取れているなら十分です。宅建は、読める人が訓練で安定させる試験です。そして、点が安定しない原因が「読み方のブレ」なら、直した瞬間に伸びます。逆に、ここを放置すると、過去問を回しても

・間違いの原因が毎回違う
・解説は分かるのに本番でズレる
・正答率が上下して自信が削れる

という状態になりがちです。

⑬不安がある方へ
(個別サポートのご案内)

・本番で読み違えそうで不安
・文章の読み方が自己流で安定しない
・過去問で、知識より“読み違い”で落とす

こうした状態は、早めに修正した方が得です。読み方が安定すると、同じ勉強時間でも得点が伸びます。
私の個別指導では、過去問を使いながら

・主語・動詞・対象・条件の確認手順
・読み違いが起きるポイントの潰し方
・本試験で再現できる読み方

を固めていきます。自信がなくても引き上げます。まずは現状を簡単に教えてください。

・現在の学習状況
・過去問の正答率(おおよそで可)
・一番困っていること

この3点を書いて問い合わせフォームから送ってください。状況に合わせて、最短ルートを提案します。

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